なぜ1プレイ2分なのか ― いちど問題数制にして、戻すまで

このサイトの10のゲームは、どれも2分で終わります。実は開発の途中でいちど、決まった問題数で区切る形に変え、またいまの時間制に戻したという経緯があります。何を読み違えていたのかを、当時の記録をもとに振り返ります。

2分で終わります、と書いてある理由

このサイトの10のゲームは、どのページを開いても、待機画面に「2分」という時間が出ています。テンポよく進む追いかけも、じっくり縞(しま)の向きを見きわめる一瞬の向き当ても、1回にかかる時間は同じ2分にそろえてあります。どのゲームから始めるか迷ったときの選び方は10のゲームの違いと選び方にまとめています。

この「2分」という数字は、最初から今の形だったわけではありません。開発の途中でいちど、時間ではなく決まった問題数で区切る形に作り変えたことがあります。そしてしばらくして、また2分の時間制に戻しました。作り変えてから戻すまでのあいだ、遊ぶ人からは「制限時間」も「問題数」もいっさい見えていません。表に出ていたのは、いつもどおりの縞模様(しまもよう)と、進み具合を示すゲージだけです。

なぜ変え、なぜ戻したのか。この記事はその経緯を書きます。成功した話ではなく、いちど読み違えて、直した話です。

はじめは「時間切れ」を悪いものだと思っていた

時間で区切る形をやめた理由は、単純でした。「時間切れで急に終わるのは、遊んでいる途中で打ち切られたように感じられるはずだ」と考えたからです。

2分たったところで縞模様がぱたりと消えて結果画面に切り替わる。これは遊んでいる本人にとって、自分の意思で終えたのではなく、外から止められた感覚に近いのではないか。そう考えました。

そのかわりに、9本すべてを「決まった数の問題に答えたら終わる」形に作り変えました。時間ではなく問題数で区切れば、最後の1問に答えた瞬間が「やり切った」という実感になるはずだ、という発想です。

作り変える前、9本にかかる時間は短いもので60秒、長いもので180秒と、ゲームによってばらばらでした。問題数で区切る形にしたところ、実際にかかる時間は80秒から128秒の範囲におさまるようになり、ばらつきそのものは狙いどおり縮まりました。

このとき、進み具合を示すゲージも新しくつくりました。10個に分かれたブロックが、問題に1つ答えるたびに1つずつ増えていく作りです。あと何ブロックでゴールかが目で見て分かるようにしたつもりでした。

ところが、これがうまくいきませんでした。1回あたりの問題数はゲームによって大きく違い、多いものでは150問、240問に達します。10個のブロックに割ると、1ブロックが15問から24問ぶんにあたる計算です。1問答えてもブロックはほとんど動かず、ゴールまでが遠いままでした。狙いのうち、1回の長さをそろえることは達成できたものの、ゲージが埋まっていく充足感のほうは、まったく出せていなかったのです。「終わったという実感」を作るために問題数へ変えたはずが、その実感を運ぶはずのゲージが動いて見えない、という状態でした。

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別のアプリのレビューを読んで、逆だと分かった

この考えが揺らいだのは、同じようにガボールパッチを使った、よく遊ばれている別のアプリのレビューを読んだときでした。

時間による区切りを持たず、遊ぶ人の判断にゆだねているアプリのレビューに、こう書かれていました。

「いつまでやっても終わりがないので、終了するタイミングがわかりません」

別のレビューにも、終わる条件が分からないまま延々と続けてしまい本末転倒だ、という声がありました。実際にそのアプリを試してみても、たしかにいつ終えればいいのかが分からず、途中で開くのをやめてしまいました。

いっぽう、時間で区切っているアプリのほうは、自分で3分ぶんを遊んでみて、こう書き残しています。

「カウントダウンがあるので中断に感じることはなかった。ただしやりきったという感じでもない」

これは第三者のレビューではなく、自分の手ごたえです。終わりが見えることと、やりきったという手応えがあることは、必ずしも同じではないようでした。

ここで気づきました。問題だったのは「時間で区切るか、問題数で区切るか」ではなく、「終わりが見えているかどうか」だったのです。カウントダウンは、途中で打ち切られる合図ではなく、あとどれだけで終わるかが分かる安心材料でした。逆に終わりの見えない作りのほうが、途中でやめる理由になっていました。

同じレビューの中には「タイムを求められないので、見ることに集中できてよい」という声もあり、時間そのものを嫌う人がいないわけではありません。ただしよく読むと、これは記録として速さを突きつけられることへの反対であって、終わりが見えることへの反対ではありませんでした。争点は時間か問題数かではなく、終わりが見えているかどうかだったという見方は、ここでも崩れませんでした。

戻したあとに変わったこと

ここまでの経緯を踏まえて、9本すべてをふたたび2分の時間制に戻しました。

ただし、問題数で区切っていたあいだに作った、進み具合を示すゲージの仕組みは、そのまま捨てませんでした。もともとは10個のブロックに分けて、問題を1つ答えるごとに1ブロック分だけ進む作りでした。これを、経過した秒数に応じてブロックが進む形に置き換え、時間制に戻したあとも、ゲージだけは残すことにしました。

ところが実際に動かしてみると、新しい問題が出ます。2分を10個に割ると、1ブロックはおよそ12秒です。答えているあいだ、その12秒のあいだブロックがほとんど動いて見えないままになります。区切りがあること自体が、かえって「動いていない」という印象につながっていました。

けっきょく10個のブロックという区切りそのものをやめ、区切りのない1本のバーが経過時間ぶんだけなめらかに伸びる、今の形に落ち着きました。問題数で区切っていたころの名残りを、時間制に戻したあとも一度は引き継ぎ、そのうえでもう一度作り直したことになります。伸びていく先にゴールがあることが常に見えている、という点だけは、10個のブロックだったころから変わっていません。

なお、正解を重ねると何が変わるかというレベルの仕組みは、この経過時間のゲージとは別の話です。ゲームごとにレベルが何を動かしているかは10のゲームは、どこまで難しくなるのかにまとめています。

2分という長さそのものについて

ここまでは「時間で区切るか、問題数で区切るか」という話でした。最後に、その時間がなぜ1分でも3分でもなく2分なのか、という点に触れておきます。

正直に書くと、2分という長さそのものに、検証の裏づけはありません。

調査の記録には、もっと具体的な案が残っています。時間制に戻すときの案は、実は2分ではなく90秒でした。同じ題材を扱う他のアプリでは1回3分という長さがよく使われていて、「1日3分」という言い方そのものが知られているため、90秒を2本つづけて遊べばちょうど3分になる、という組み立てだったのです。9本すべてを90秒でそろえれば、1回の長さのばらつきも完全に消えます。

ところが実際に作ったものは、90秒ではなく120秒でした。90秒から2分へ変わった理由は、記録のどこにも残っていません。おそらく実際に遊んでみての手ざわりで決めたのだと思いますが、そう書いてある記録が無い以上、ここは決め打ちだったと書くほかありません。

2分が1分や3分より良いという根拠も、いまのところ持っていません。1回の長さは、遊んだ人がどこでやめたかを見ればいずれ分かることなので、公開してからの数字で確かめるつもりです。

2分という区切りの中でどうあそぶかはガボールパッチのあそび方・進め方に、続けてあそぶときの休憩の目安はあそぶ時間と休憩のはなしにまとめています。

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